■ステージ4 『再びひとりキャンプ』 姫路~丸亀~東洋町■
10日目(金) 姫路→丸亀
ホテルを出て、3日ぶりにバイクのエンジンをかける。今日は風が強そう、下道をつかって瀬戸大橋を目指す。途中、岡山ブルーラインの一本松展望台で長めの休憩。
ここまでの旅でいくつもの快適なツーリングコースを走ってきて、その都度
「この道は快適じゃ」
ととても無邪気に喜んで来たが、今住んでいる都内が信号が多くイライラ+ノロノロの道路で、地方に行けば快適な道路がどこにでもあることに気がつきだした。
都内を止めて地方へ引っ越すか?
児島ICから瀬戸大橋に入った。
「おーー!」
思わずヘルメットの中で大声を上げた。なんという景色、点在する緑の島と青い海のコントラスト、その中を貫く道路とアーチ橋の人工美、自然美の中にあるからこその美しさ。その中を走り抜ける爽快感。息をのむとはこのことか。
が、海面からのものすごい高さと、スカスカで低い手すり、良く言えば開放感で抜群の眺望だろうけど、実際、はるか下に見える海面へ吹き飛ばされそうな恐怖はすごい! 抜き身で走るバイクの悲しさですね、ゆっくり走ろう。
途中の余島PAでうどんを食す。これまでの食事は惣菜系ばっかりだったせいか、お汁モノのうどんがとてもうまい。出汁が身体に染みいる感じだ。これが有名な讃岐うどんなんでしょうが、九州のうどんと変わらないと思うけど・・・。
駐車場でPA管理のおじさんが話しかけてきた。74才、以前はJR東で勤務していて横浜線担当だった、ボクのバイクのナンバーがとても懐かしい!とのこと。ご自身もバイク乗りだが3年前に事故し、息子から乗るなと言われていると残念そう。
今日の泊地、畦田(あぜた)キャンプ場は瀬戸大橋を降りてすぐだった。
里山のふもとって雰囲気で、木々に囲われ鳥のさえずりが響き渡り良い感じ。全体敷地は結構広いのにテント6張り限定という贅沢さ、さらにひとり1,300円と格安、ちなみに家族で来ても1張り2,000円と驚きのお値段です。トイレはウォシュレット、水場とトイレが少し離れているが、気になるほどでも無い。でもフリーサイトはトイレからの戻りが急坂の ”登山” となるのが笑える。
なんと金曜というのにこのキャンプ場に ”ひとりキャンプ” だった。都内勤務ご経験の管理のお姉さんは、田舎には平日に休む文化がまだ浸透していないから、との説明に納得する。
スーパーマーケットも近い。インスタントラーメンの”うまかっちゃん”を発見、今夜のメニューは決定。今回の旅で初めて見た、九州が近くなったということでしょうね。
琵琶湖では多かった蚊の跳躍は、ここでは日が陰り気温が下がれば無くなった。風は無い、虫の鳴き声も聞こえない、夜になれば鳥のさえずりも終わり、本当に静かになった。テントに落ちる葉っぱの音が妙に大きく聞こえるくらい静かな夜だった。裏の茂みで四つ足の狸か何かが、葉っぱを踏んで歩いて去るのもはっきり聞こえる。やはり目が冴えたのか、夜中に2回起きてビールと読書。
11日目(土) 丸亀
4:30、鳥のさえずりが聞こえ出すと、夜が明けたことがわかる。
6:00、起床、いつものようにコーヒーと読書、「竜馬がゆく」は5巻が終了。
数日前発生した台風が北上してきそうだ。6日先だが今のうちにホテルを追加予約した。雨のキャンプはもう慣れたが、台風はシャレにならんからね。これで来週はほぼホテル泊になった。
今日は瀬戸内海沿いの道をぐるっと周回しようと思う。高名な金比羅山は、次回カミさんと来たときにとっておきましょう。出発前、管理のお姉さんと地元のおじさんとの会話に入って20分ほど雑談する。
まずは道の駅とよはまへ、バイク専用駐車場で、きれいにレストアされたZ900の方とお話しする。地元で、元学校の先生、70才、ずっとバイク乗り、この辺は旧車乗りが多いそうだ。
その後CB750(K-1)で来られた方とベンチに座って話をする。この方もかなりの旧車通、ボクより3年先輩、県議会議員をやっていたそうである。周辺のツーリングコースや諸情報を教えてもらった。こうやって語り合えるって、本当に良いよね、同世代のバイク乗りは。
昼になったのでそのまま道の駅で昼食、今日はうどんにすると決めて先ほどの方にもうまい店とか聞いていたが、妙に魚が食べたくなり、ちょうど刺身丼があり注文する。うまい!以前、中国駐在中に気がついたけど、ボクはカラダが欲するようで定期的に魚を食べないとダメなようです。
その後、紫雲山半島を一周したところで14時近く、予定していた五色台行きはキャンセルしてキャンプ場へ戻る。今日は思わぬおしゃべりで時間が無くなったとは言え、どうも今回の旅は活動時間が短いですな!
キャンプ場の隣にある、地元御用達のお風呂に行く。でも地元のおっちゃんとおぼしき人は全て、先に身体を洗わず、さっと流すだけで先に浴槽へはいるので、ちょっとビックリ。
今日は土曜なのでキャンプ場は満杯、と言っても6グループ。お隣は、小2の娘と父と二人っきり、その向こうは若い女性が二人、どこも静かに過ごしてくれそうな雰囲気で安心である。
12日目(日)丸亀→東洋町
畦田キャンプ場をまとめると、アクセス良、買い物OK、お隣が大浴場、安い、全6組とお互いを気遣える大きさ、森に囲われ静か、でも展望は無し、水とトイレがちょっと歩く、車は横付け不可、でしょうか。管理の姉さんは、これから色々と整備されるそうで、ご発展をお祈りしますね。
テントを撤収していたらムカデがテント内に居た。こんなのに刺されたら大変だった。ちょっと肝が冷える事件でした。
徳島経由で室戸半島付け根の東洋町を目指す。
道路からしか見なかったが、吉野川は素晴らしい川だった。川の大きさ、河原の広さ、水質、どう見ても雄大な大河の貫禄、小さい島と思いがちの四国だけどこういった川があると言うことは、山が深く自然たっぷりで良いところなんですね。野田知佑さんが住んだ理由が良くわかった。
今夜の宿の白浜キャンプ場は、道の駅東洋の中にあった。
なんと今日から2泊ともキャンプ者は、ボクひとりとのこと。はっはっは、笑うしかない。駐車場から一番遠い海側にテントを張る。
スーパーマーケットが徒歩圏内との説明で行ってみたが、雑貨屋さん程度、今日はその気分にならずバイクでセブンへ行った。
これまでのキャンプ場は自然感が一杯だったが、ここは田舎とは言え人の往来が視界に入る町の中である。ただ波の音がちょうど良い音量、駐車場の車の音などくだらない雑音をほどよく消してくれる。
虫は居ない、海岸沿いなのに風は無い、
今日はだれとも話さなかったな~~。
13日目(月) 室戸岬~東洋町
このキャンプ場は地元の方の犬の散歩コースになっているらしく、テントの前を通られていく。その中で気が強そうなおっちゃんが「このバイクで旅行しているのか」と話しかけきた。
明日の天気予報が”少し雨”から、”しっかり雨”に変わった。雨なら今夜はホテルでも取ろうか考えたが、風は無さそうなのでこのまま、また雨中キャンプとしよう。
今日は室戸岬に向かって、国道55号を南下し走る。道路左側はすっと雄大な太平洋が大きく広がり景色は最高、ついでに道路状況やコースも抜群で、ツーリングコースとしてはこれまでで最高と思う。
ただ民家が少ないこの状況から、ガソリンが心配になってきた。もともとこの400Xはタンクが17Lと大きく、その上燃費が良いから満タンで500kmは走る。が、その分給油に関しては無頓着になる。燃料計は20%切ったところで、セルフの看板のガソリンスタンド発見。セルフとは自分で給油して、清算はカウンターへ行くアメリカ式でした。
この人家がまばらな国道をお遍路さんがひとりで歩いている。食事や泊まりはどうするんだろう?と思わざるを得ない。見るとリュックひとつのみ、それも30Lくらいで決してテント泊の山登りの大きさじゃ無い。最低限の生活用品のみでしょう。非常に興味がある、お遍路さんとはどのようなシステムなっているのか今度調べてみよう。
ボクの旅は車やバイクを使うが、風のように町を通り過ぎ点と点をつなぐだけような旅で、本当の日本の地理や自然、民情や人を感じることは無い。最低でも自転車並みの速度でゆっくり日本を感じる旅をしたいのが本当の願望で、お遍路さんはボクの旅のスタイルに合っているのかも知れない。
ついでに、2年前に中国の西安旅行で訪問した「青龍寺」は弘法大師空海ゆかりの寺で、四国八十八巡礼の零番所とあって急に親しみがわいてきたこと、以来お遍路さんのことが頭の片隅から離れない。
室戸岬では、御厨人窟、中岡慎太郎像、展望台、灯台などで写真を撮った。ただ天気は曇り、海の方の白っぽく霞がかかって視界はほとんど無い。
灯台の登り口にあった、第24番札所 室戸山 明星院 最御崎寺を参拝させてもらった。市中にあるお寺のようなキラキラした感じがまったく無く、歴史を感じるお寺であった。
今日は月曜で休みが多く、結局コンビニ弁当をイートインで食べたが、でもうまいね。
中岡慎太郎館へ、ひなびたところで先週訪問した本田宗一郎館を思い出した。駐車場には観光客らしき車も無く、あまり期待はしなかった。館内は写真禁止で「えっ、そんなに貴重な展示物があるのか?」と。でも実際、内容はかなり充実していて、歴史的価値の高い(と思われる)展示物が多く、大変見応えがあった。
ちょうど今「竜馬がゆく」の6巻目を読んでいて、中岡慎太郎が何度も登場するところ。この本とは違う事象も多く、大変興味深かった。
キャンプ地に戻るべく来た道を折り返すが、良い道は何度通っても良いね。浮津という町でスーパーマーケットを見つけ、ようやくカツオのたたきを2パック購入した。
このキャンプ場はゴミを全て受け入れてくれる。それも大きなゴミ袋をもらったので、あまり使わない持参物を処分させてもらった。この減容化の効果は大きく、カバンの中がスッキリとなった。とてもありがたい。
明日は雨、どうせ雨具を着ると汗をかくのでと、2日連続シャワー無しとした。カミさんには内緒だゾ!
ここはサーフィンのメッカらしく駐車場はサーファーがいつも歩いているし、海の方には早朝から夕方遅くまで、アザラシのように見えるサーファーが何人も浮いている。夜は車中泊らしい車が数台駐車していた。今夜はお遍路さんが東屋でテントを張っていた。
カツオはうまい。
出発して2週間が過ぎた。梅雨入りしたらしい。明日、雨の中でのテントの撤収方法を考えながら寝る。
14日目(火)東洋町→高知市
昨夜は早めに轟沈したが夜中にトイレと読書と少々ワイン。5:00起床、雨はまだ振りそうに無いので、早めに撤収を開始し7:30終了、炊事場の軒下で雨宿りしながら、コーヒーを飲んで時間をつぶす。
今夜は高知市のホテル泊まり予定だが、15時からチェックインなので、到着までは時間はたっぷりあり、この雨の中どう時間をつぶそうか迷う。どこかに遠出する手もあるが、雨の強さを考えると今日は単なる移動日と腹をくくり、最短距離を使いましょう。屋根があるところをみつけ時間を使いながら移動することとし、雨侵入を考えながら入念に雨具を着る、バッチリだ!
8:45出発、雨はまだ小降り。
お遍路さん向けの屋根付き休憩所(東屋)や、道の駅の軒下などで休憩する。時間がありゆっくりしていると、今までだったら見落としそうなところに目が行き面白い。雨具を脱ぐのが面倒なので昨日と同じコンビニで、昨日と同じような弁当の昼食となった。ハンバーグ弁当だけど、うまいよ。
昼からは本格的な雨になった。
ナビとして使うスマホの雨対策は、かなり考え抜いておりバッチリだ、と思ったら充電がされて無く50%切っていることがわかった。調べてるとシガーソケットのUSB端子がわずかに濡れている。完璧と思った防水対策にも、わずかな隙間があった、この大雨じゃダメか。でもこんなちょっとの漏水を感知し充電を止めるって、スマホはすごいね。道の駅やす の高架下で乾燥と再充電のため45分ほど休憩する。
ちょっと早かったが14:20今夜からの宿、ファミリーロッジ旅籠屋高知に到着、軒下にバイクを止めで15時まで待とうとしているところ、ちょっとバイクに寄りかかったらバタンと右側へ倒してしまった。あ~~あ!ついにやってしまった!立ちゴケ!バイクの左側から寄りかかったらダメよね、常識ですね。通りかかった人に手伝いをお願いしてなんとか起こす。幸い大きな荷物がクッションになってバイクへのダメージは無しだった。
ここ旅籠屋って前から気になっていたホテルチェーン。ニュージーランドでよく利用したモーテル形式、部屋の前が駐車場でアパートみたいに気軽、レストランなど余計な施設は無く簡単。部屋のお掃除不要にすれば値引きがあり、3泊が14,300円と格安、もちろん平日値段ですが。部屋はツインで広い。
部屋で早速シャワーと洗濯。
とりあえず今回の旅の目標点、高知に到着した。
コメント
じろーごろー様
ご無沙汰しております。「管理の姉さん」です!
この度は、深い森へお越しいただき、ゆっくりとお過ごしいただけたこと、
改めて心より感謝申し上げます。
じろーごろー様のような、いわゆる“都会”からお越しいただいた方に感想をいただけることは非常にありがたく、また直接お話できたことは運営させていただいている人間として何よりも貴重な時間でした。
「週末に休む」という文化がまだまだ根強いthe地方・香川県で、これから新しい流れや価値を作っていけるよう頑張ります^^(なんだか上司へのメールのようになりました…それほど、じろーごろー様とのお話は前向きに考えられることの多い時間でした!)
充実した坂本龍馬に出逢う時間を過ごされているようで何よりです^^
ますます美しい四国を味わって安全に帰郷されることを願いつつ、
またお会いできることも楽しみにしております。
この度は誠にありがとうございました!!^^